飛ばす...と単純に言いますが

よく、あまり目立ってはいけない部分を「飛ばして」ということがある。
それは、該当部分を白飛びさせて「何も見えないように」してしまうことを指していることが多い。
データから見れば、飛んだ部分はデジタル画像としての「情報が皆無な状態」であり、印刷をするならその部分は「インキが乗らず紙の白がそのまま出ている状態」となる。
ここで知っておきたいことは、撮影時点で強いコントラスト設定を行い「飛ばして」しまうと、撮影データが作られた時点で既に一部の情報が存在しないものになっている。ということ。
デジタルの世界では、データが存在していないものは、あとから絶対に作り出せない。
もちろん、画像処理段階でデータ補完という手段が当たり前になってはいるが、厳しい言い方をすれば「存在していないものを周囲のデータから予想してアプリケーションが勝手に作った偽物」ということである。
存在しているデータを元に、ハイコントラストに加工し「飛ばす」のは自由だが、最初から意図的にデータを少なくしてしまうのはあまり望ましくないはずだ。
だから、「濃い味」である高すぎるコントラスト全盛の現在の潮流は危ない。
撮影時点では可能な限りデータを残すように心がけたいものである。
青色のご飯を食べたいですか?

「青い色のご飯」を食べたいと思うだろうか?
一般的に食べ物にあまり見受けられない青い色(寒色系)は、食欲を減退させるといわれる。
そのため、料理写真は「暖色系」のデコレーションが好まれる。
しかし、デジカメのAWBでの撮影写真は多くの場合「かなり青い色が強い」発色になる傾向がある。
また、画像を見る環境でも背面の液晶モニターが「真っ青」。
携帯・スマホの画面も「真っ青」。
極めつけは、PCモニター画面。WindowsのノートPCは論じる余地さえなく、一部のMacでも「真っ青」。
新幹線のテーブルで広げたお弁当。
蓋を開けた途端に「ご飯が真っ青」では一気に食欲がなくなるはずだ。
でも、web、ソーシャルメディアに溢れるお弁当や食べ物の写真は、「真っ青」か、そうでなければ電球色の「真っ黄色」...。
デジカメでパパッと撮影するときでも、「ご飯」でホワイトを撮ってやれば全然結果が変わるのに。
このお弁当。もう数年前モデルのLumixで撮ったもの。マニュアルホワイトバランスを取るのに数秒しかかからない。
いつから日本人は色に対してこれほどまでに「感性を失った」のだろうか?
この「パンダの顔色」が青くみえていれば、あなたのブラウズ環境は???かもしれない。
PictureStyleを活用してみる

Canonのデジタル一眼レフには「Picturestyle(ピクチャースタイル)」という設定項目があり、仕上がりイメージを撮影前に変更・設定することができる。
失敗が許されない撮影時に初めて使用するのはトラブルのもとになるのでお奨めしないが、撮影した画像をPCモニターで見て、プリントして...という時間の余裕が取れる時に、その設定の違いによるアウトプットイメージの差を知っておいても良いと思う。
先般の講演の席でも、彩度をもっと上げたイメージが欲しい、とか、空の色が青くならないが解決方法は?という声があった。
あるいは、階調を大切にしたいのでコントラストを下げたいがどう設定すればよいか?という疑問は教室内でも出てくる。
私はCanon機を使っているので他社製カメラの設定については経験がなく不明だが、似たような機能があるのではないだろうか。
最近のモデルには、アーティスティックなエフェクトまでその機能に含ませているようだが、これは「お遊び」の域に入るかもしれない。
あくまでも、コントラストやブライトネス、シャープネスなどの、基本要素に限って利用するのが破綻しない結果を得るポイントだと思う。
プリセットで用意されているPictureStyle以外にはEditorも配布されているので、かなり自由度の高いセッティングが可能になる。
DSLR movieが 5Dmk2以降盛んに活用されるようになったが、映像に適した絵にするには細部まで手を入れなくてはならない。
DSLRでの映像は、スチル写真ベースの設定で行くとニースロープがかなり寝ていてポイントも高いところにある上、ガンマカーブが違いすぎるので、シャドウ部も潰れてしまう。
そんなところを弄り始めると、意外と暗部に盛大なノイズが隠されていたりする。
今日の一枚は、一昨日に撮影した軒先のひまわり。
これはスチル用のセッティングで露出も抑え気味で撮影したが、映像用セッティング(RGBフルスケール階調でありNTSC用ではないので一応...)で動画撮影も行ってみた。
コントラストは高ければ良いのか?

どんな場合でも「高コントラスト」が良いとは限らない。
コントラストが高いと明暗差が鮮明に出るためメリハリの効いた印象を与える。
しかし、何でも高コントラストな絵ばかりに慣れると「階調表現に対する感覚が麻痺」してしまう。
モノクロ撮影は、そんな階調表現の世界に意識を呼び戻してくれる。
「白い部分」「黒い部分」「グレーの部分」。
極端にそして乱暴に分類すれば、僅か3つの言葉に分類できるグレースケールデータ(実際は256階調)ではある。しかしながら、こと表現となると、黒っぽい部分と白っぽい部分の分布や画面構成・配置に撮影者のセンスが求められる。
と同時に、コントラストをある程度下げ「やわらかい中間部分の階調」に配慮しなければ印象的な写真にならない。
スポット的なハイライト部分は飛ばしても、シャドウ部に階調が見出せるような露出に設定してゆくのもモノクロならではの世界。
かつて暗室でモノクロプリントを経験してきた人は、印画紙の仕上がり具合(硬調・軟調)まで選択の余地があったし、それを意識して作り上げたはず。
また、被写体によってもどちらが好ましいのかまで考えて選択していた。
今、デジタルの世界でも、コントラスト設定は撮影時にカメラで行うのが望ましいのではないだろうか?
低めのコントラストで撮影した画像は伸張補完しても階調は破綻しにくいが、ヒストグラム両端まで引っ張った高いコントラストの画像は、その外側にデータが存在していないところに限界があるのは明らかだ。
高(ハイ)コントラストは強いインパクトを与えるが、階調を大切にしたいシーンには向かない。
何でも高コントラストではないことを意識する時間。ステップアップクラスより一枚。