
タッキー816 みのおエフエム様の番組「カメラとお散歩」のコーナーにて、毎月第一水曜日午前11時よりカメラや写真に関連したお話しをさせていただいています。
今回2月6日の放送では、リスナーさんから「体育館での撮影時、ブレが大きくなるためにうまく撮れない。その改善策は?」というご質問をいただきました。
話し慣れない私を、いつもうまくフォロー・リードしていただく番組パーソナリティ千波留さんの考える対策は、「ISO感度を上げる、絞りを開く、シャッター速度を早くする」の3点。
まさに完璧な模範解答でした。
放送時の私の回答は、シャッター速度を上げることで改善しましょう。但し暗くなる可能性もありますね。という項目にとどめていました。
リスナーさんは、さまざまな環境(使用機材の違いや個々人のスキルなど)があると思われるので、ターゲットをどこに設定するかといった部分でいつも悩みます。
今回の想定は、一眼レフ(ミラーレスではない)に汎用ズームレンズ(開放f値=f5.6〜f6.3程度、135mm〜300mm程度の焦点距離)を装着した機器を使用していると考えています。
体育館で行われる卒業式では、舞台上のスポットが当たっている部分でも決して明るくなく、その結果、カメラ側でスローシャッターになるためにブレてしまう、というシチュエーションだと思われます。
もちろん詳細は不明ですが、舞台は概ね、ISO1600、 F4、1/30〜1/50程度の明るさではないかと想像しています。
レンズの開放f値が5.6や6.3ではかなり暗く、同時にエントリークラスのボディであれば、カメラが自動設定しうるISO感度は3200から6400程度が上限になると考えられます。
この条件で上記の明るさから逆算したシャッター速度は、1/15〜相当明るい舞台としても1/125程度のシャッター速度になるでしょうか。
よく言われる、手ブレしない手持ち限界シャッター速度「1/焦点距離」に当てはめるなら、望遠ズームの焦点距離200mmであれば、1/200程度は必要になる計算で、これよりも遅いシャッターだと相当安定したホールドができる方でなければブレて当然、という結果が見えます。
最近のモデルでは手ブレ補正機能が付いているものが大半なので、この機能に助けてもらったとしても、ギリギリだろうと思われます。
また、被写体側が動くと1/30あたりでは止めることが困難であり、卒業書証を手渡され一礼をする程度の動きでも、ほぼ間違いなく止まりません。これは被写体ブレの部分です。
こうしたことから、ブレずに止めることを最優先に考えるならシャッター速度を上げるしかなく、汎用ズームレンズでは絞りももうそれ以上開くことができず、ISO感度も自動設定では限界、ではなかろうか、ということなのです。
ですが、更に加えるなら、カメラ側で満足な露出が得られない時にはシャッター速度を設定値よりも長く(遅く)するセイフティシフトといった機能が働く可能性があり、これではブレずに止める目的を果たせません。
このままでは結論が見いだせませんので、ご質問の方の環境や機材を考慮せず「ブレないという目的を果たす」ことだけに観点を置いて書いてみます。
1.最低でも開放f値が「f4」のレンズ、可能なら「開放f2.8」のレンズを使う
2.ISO感度が6400から12800でも許容範囲と判断できる低ノイズであるボディを使う
3.RAWで撮影しマイナス一段から一段半のアンダー露出でシャッター速度を稼ぎRAW現像時に不足分を増感する
4.舞台に可能な限り近づき、より広角の焦点域でブレを軽減する
という感じでしょうか。投資費用も驚くようなゾーンになる可能性があります。
では、もっと現実的な汎用ズームとエントリークラスのボディならどうするか?です。
1.ISO感度を設定可能な最高値(6400〜12800)にする(この場合のノイズは不問事項とする)
2.シャッター速度は1/125から1/250に設定する
3.セイフティシフト等は無効にする
4.絞りは(おそらくf5.6〜f6.3)開放に設定する
5.舞台に可能な限り近づき、より広角の焦点域でブレを軽減する
6.可能であれば三脚、もしくは一脚等を使用する
これで試し撮りをして本番に臨む。
という感じではないかと思います。
ですが、失礼な意味ではなく、こうした設定が実際にできるのかどうかも不明です。
写真は、色々な要素や環境要因が絡み合って結果が導きだされます。かけ算の九九のように、一つの計算式に答えが一つ、という訳には行かないことを申し添え、補足の説明とさせていただきます。
放送時には、最大公約数的な回答になってしまう点、ご理解ください。
また、放送後に以下のご意見をいただきました。
ありがとうございます。来月もお楽しみにお聞きいただければ嬉しく思います。
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●わかりやすかった
●室内で写真を撮ることが多いのですが、数多く写してもその中の数枚しか使える写真がありませんでした。うまく撮れているものも自分で考えてというより偶然でした。これからは光を考えて撮ってみます。
●光の話が特に面白かったです
●すぐ真似できるとは思わないけど、何も考えずに撮影するのと、少し気をつけて撮影するのとでは違うと思うので、ためになる。
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