「工業製品」か「道具」か?

色々な節目節目で記念写真を撮る...。
フィルムカメラからデジタルカメラ全盛時代になって、手軽に撮影される機会が増えてきている。
でもなかなか思うように撮れない。と仰る方が増えている。
それは、カメラを「道具ではなく工業製品」と認識していることが原因ではないかと思う。
工業製品は、完成した製品として世に出て必要な役務を提供する。
例えば、電源を入れて必要最低限の操作さえすれば目的の動作や機能を発揮する。
片や道具は、目的を達成するために、自らが手段として使用し作業等を行わなければならない。更に、その作業の結果も自らの操作や作業の出来に左右される。
ここに「大きな溝」がある。
カメラは工業製品ではなくて道具であると考えれば、自ずと答えが出る。
カメラを家電量販店で購入している時点で、無意識に「工業製品的な」結果を期待しているのではないか?
これを購入さえすれば、パンフレットやカタログに載っているような写真が撮れる...
と無意識に思ってしまう。
と、までは極論かもしれないが、似たような期待を込めた意識が存在しているはずだ。
だから、デジタル一眼レフを買ったけれど、上手く撮れない。
という言葉になる。
デジタル一眼という「道具」を買ったら、それを使いこなすための自らの技量によって結果が異なる。という意識がまず必要だと感じる。
デジタル一眼レフを買ったけれど、思うようなイメージに撮るためのテクニックが判らないから結果が思うように出ない。
と言い替えてみる。
ここの意識にまでたどり着くまでに、写真の楽しさや奥深さを感じないまま、カメラから離れてしまう方々が数多く存在していることが残念でならない。
私の写真教室では、この部分の「できた!」や「撮れた!」という感動を少しでも感じてもらいたいと考えて開講している。
クリスマスにこだわった手料理。
せっかくの姿を記録として残したい...。
そんな思いが、準備3分、撮影5分のこのカットになった。
仕事用の大掛かりなセットを組まなくても、簡易ワイヤレススレーブストロボを2灯追加してみるとこのレベルまでのカットはスグに手に入る。
道具は使いこなすためにあり、且つ、そのためには自らの工夫と結果をイメージするアタマも必要になる。
それは、残念ながら電器店では売っていないのである。