今度は階調重視の絵が自動的に手に入るように

先の記事、
【階調を意のままに仕上げる爽快感を】
【階調を意のままに仕上げる爽快感を:2】
で記載したような、肉眼で見た感覚に近いイメージに階調を残す「撮影時点と併せての一連の処理の楽しさ」を知る人がまだまだ少ないのではないだろうか。
何より、階調を故意に破壊し奇妙な色カブリに加工するフィルター遊びがSNSで氾濫したことにより、階調に対する意識が麻痺してしまっているケース(人たち)に遭遇する機会が多かった。
ところが、流れが変わってくると、今度はスマホカメラが「自動的に階調を残したHDR的な絵」を記録するようになってきた。
極端な例では、Google Pixel 3の夜景モード(Night Sight)に見られるような、極端に明暗差が激しい被写体を、より肉眼のイメージに近づける処理を行い、一枚の絵の中に共存させる。
(ちなみに同機は所有していない。webのサンプルを見る限り。)
こうなると、ベクトルは正反対ではあるものの、SNSの階調破壊系フィルターと同様に「自動的に」結果が手に入るので、またまた同じように今度は「階調が豊富な状態」に麻痺してしまうことが予想される。
なぜ、いつも振り子は両極端に振れるのだろう?
ま、だから振り子なんだろうけれども。
過去、カルチャースクールでお話しをさせていただいていた時代、「一眼レフよりiPhoneのほうが綺麗に撮れる!(当時はiPhone4s時代だったかと)」との声が出たことがある。
さまざまな、望ましい結果を得るための加工・調整まで行って保存されるから、スマホカメラの絵が綺麗に感じるのだ、ということを理解できない人たちが少なくなかった。
そして、
その度合いを自らの手で調整する部分に楽しみがあるのですよ。
立ち食い蕎麦でも、七味や薬味を自分の好みで入れられるようになっているでしょ? 自分らしさを加える部分に楽しみがあるのと同じように、道具を操作して結果を導くプロセスが楽しいのです。
という言葉にも不満そうな表情が溢れていたことを思い出す。
AIはこうした部分から既存の常識を破壊して行く。
だが、本来、楽しみというものは、(例えば今回の階調の例ならば)その再現性をどの程度行うのかを、自分の意思で決めるところに存在していたし、今、これからも残り続けるだろう。
たとえ完全無欠な栄養素と味覚を備えた食べ物が自動的に食卓に並んだとしても、自分の手で料理・調理をする楽しみは無くならないのと同じように...。
2018/12/02(Sun) 20:12:20 | Img Processing