撮影にも呼吸とタイミングがある

体育祭シーズン。
スターターピストルの合図を撮ってみる。
火薬発破の瞬間は、破裂したベース紙の破片が飛び散り、発火による煙が周囲に立ち込める。
引き金が引かれる前後に「連写」すれば、これは!と思えるようなカットが撮れることだろう。
(ちなみに「連写」は連続して撮影することで「連射」ではない。メールの御意見で誤記が多い文字の筆頭がこれである。この文字を書いてくる人たちは何を「連射」するのか?)
しかし、連写20枚の中から1枚を選ぶのであれば写真を撮っている感覚ではない。
機械が「勝手に写した」画像から「一枚を選ぶ」だけの作業者になってしまう。
絶対に外せない仕事での撮影なら必要なプロセスだとは思うが、タイミングとリズムを掴むには、仕事ではない、こうしたフリーの撮影時に感性を磨く必要がある。
今年は世界陸上開催の年であったが、あのような公式試合でもスターターのタイミングがまちまちであった。
--- On Your Mark!
--- Set!
--- ●!
この、3つの連続した動作は、呼吸によるタイミングで計るものである。
音楽に携っている方には、当たり前のことであるが、呼吸法が重要なリズムとフレージングの決定要素になる。
呼吸法は写真撮影も同じである。反対に息を止めることが多いものの...。
当然のことながら、シャッターボタンを押してからミラーがアップし、その後に撮像素子なりフィルムなりに光が届く。
そのタイムラグは、55msとか85msとか機種によって差がある。
これは、体で覚えるしかない。
レリーズタイムラグは少ないに越したことはないが、体で覚えている以上、勝手に変わってもらっては困る。
このカットも呼吸法無しには撮れないハズだ。
音がしてからシャッターレリーズしていては、煙を引いて飛び散る右側の火薬片はフレーム内に収まらないと思う。
APS-C+300mm+1.4Extender 環境なので、672mm相当の手持ち撮影。
且つ、オリジナルはスターターの顔まで入っているがweb掲載のため顔を外してトリミングした。
スポーツ系のフィールドで撮影されている方にとっては当たり前のこと。
でも、私のように頂いた撮影依頼は何でも撮らなくてはならない者にとっては、自分磨きを怠ると明日が無い。
音楽に携ってきたことが大きなメリットになる。
ここでも、写真と音楽がクロスオーバーする。