露出を調整する楽しみ

日常、被写体となる撮影対象は(自ら光を放っているものを除き)外光によって照らされ、被写体がその光を反射することによりカメラの露出値が認識・決定される。
既にご存じのことばかりだと思うが、
白いものは反射率が高く、黒いものは反射率が低い。
同じように、赤色系の被写体は低く、黄色系の被写体は高い。
近年のカメラは、こうした色の情報を加味し露出を決める非常に優秀なシステムになった。
だが、やはり反射率の低い被写体は明るめに、高い被写体は暗めに写る傾向は残されている。
メーカーによると、それは撮影者が道具として扱う感覚を優先するため一部意図的に残している、ということらしい。
「色による露出値の差」を、一切、撮影者に配慮することなく補正し、撮影者の意図が介在する余地を残さない(調整できないという意味ではない)といった方向性は、既にスマホカメラで実装されている。
これが「撮影者が何も考えず(露出について考えなく)」とも、どのような条件でもキレイに撮れる、という結果に結び付く。
写真趣味はこのような露出だとか、絞りだとか...、を自分で調整し、意図した結果を導くことが楽しみの一つであったのだが...。
色によって露出は変わる

被写体の色によって適正露出は変わる...。
というと怪訝そうな表情になる方が多い。
植物のような被写体は、多くの場合、自ら発光しないため光を反射している。
その反射度合いが色によって異なる。
「赤い色」は多くの場合、オーバー気味になることが多いので控えめに。
露出補正は魔法?

露出補正を適切に行うことができれば、写真の印象が大きく変わる。
特に、暗くなりがちなシーンではプラス補正が有効だ。
その露出補正に関して、ある方のメールの中に不思議な一文が...。
「露出補正をプラスにすれば、その明るさはどこから来るのですか?」
なるほど...。
どこからともなく明るさが増してくる...。どこから湧いてくるのか?
まるで魔法!のような話。
プラス補正する、ということは、絞りが更に開くか、シャッター速度が更に遅くなっているか、あるいはISO感度が上がっているか、いずれかのファクターで光の量を増やさなければ、光は魔法のように湧いて来ない訳で...。
補正という言葉が使われるのは、AE(オート露出)でカメラが自動的に明るさを設定してくれるということが大前提にある。
その明るさに対し、意図的にプラス(あるいはマイナス)するから補正と呼ぶ。
AEがない時代には、露出計で明るさを測って、その明るさに合うように絞りとシャッター速度を自分で設定していた。
適正とされる露出値に合わせるのではなく、多めに露出を与えればプラスだし、少なめに与えればマイナスだった。
そのさじ加減は、絞りとシャッターの組み合わせを自分自身で変更することで行っていた。
だが、何もしなくても適正(とされる)露出値が勝手に設定されるようになると、プラス補正は、どこからともなく明るさが湧いてくる...という感覚になるのも無理はないのかもしれない。
結論は、このように返信させていただいた。
「プラス補正した段階で、恐らくシャッター速度が遅くなっていると思います。さらにブレないように心がけて撮るのがいいと思いますよ。
補正は光が沸いてくるのではなく、シャッター速度を遅くすることで光の量を増やしているはずですから。」
今日の一枚は、サロンの窓際での一枚。
AEをベースにして(絞り優先AEモード:Av)プラス補正を行っている。
なるほどイメージが変わる訳で、これは魔法かもしれない!?
オート露出の裏を読む

終日の商品撮影を終え、現地を離れる車中より一枚。
(ちなみに私は助手席乗車)
ここは走行時間僅か数秒間の「橋の上」。
あまりにも印象的な夕日に、すかさず膝上の機材バッグよりコンデジを取り出し撮影した。
撮影モードは通常設定のオート。
であるが、唯一、マイナスの露出補正をかけた。
イマどきのカメラは、逆光ギラギラの太陽を撮っても真っ黒なアンダーにはならない。
極端に明るいものがあると、賢くプロミングされた逆光モードになるのだろう。
だから、アンダーではなくそれなりの露出で「撮れてしまう」。
ここはオート露出の裏を読んでみるのが写真を生業にしている者の撮影か?
とマイナス補正。
が、シャッター速度はオート、それに高速走行中の車窓からではブレてしまった。
橋の欄干も、横車線を走るトラックも写らなかったのは幸いであるが。
こんなワンポイントの撮影教室を近々に開催(大阪市内)予定。
詳細はこれから...。
Nさん、Kさん、終日の撮影お疲れさま!
本日の発注クライアントS社様に感謝。
たまにはこんな記載の日があってもいい。