人と違う絵

ロープウエイの駅舎である。
上空には、ちょうど半月になった上弦の月明かりが灯る。
「こんなとこで構えて、なに撮んねん!」
と、山頂からの市街地夜景を撮り終えて降りてきたであろう”カメラオヤジ”達が大声で叫ぶ。
(このような奇妙なところで、どれほどの写真が撮れるのか?
自分達の方が、よほど価値のある写真を撮ってきたんだぞ!と、言わんばかり...)
寂しい言葉...。
確かに市街地の夜景は綺麗。
でも、もう数十年も見てきたし何度も撮ってきた。
それにこれは「お仕事撮影」。
人とは違う絵が求められている。
今日はあんた達とは違う絵を切り取りたかったんだよ。
「自己中」という言葉は、10代や20代の若者に対してではなく、こんなオヤジ達の為にあるのかもしれない。
こうした人たちに限って、海外の空港で群れをなして日本のネガティブイメージを撒き散らす。
カメラや写真を純粋に楽しむ。そして自分のセンスを磨く。仕事として確立する...。
私は、どんなに間違ってもあんた達のようなオヤジにはならない!
吹っ飛ぶ

ハードな一日だった。
フィールドでの撮影は色々な点で気を遣う。
駆け回る選手とは異なり、立ち尽くめの身には風が冷たい。
そんな状況を打ち破る、見事なゴールに疲れも吹っ飛ぶ。
そして、納品カットも一枚増える。
誇らしげに

窓の外を何気なく見ていると、春を感じさせる来客...。
ちょうど今、手の届くところに1.4xテレコン付き 300mm/f4 が 1D2N にセットされている。
(300×1.4×1.3=546mm相当)
「逃げないか?」
杞憂に過ぎなかったその思いに応えた春の使者は、啄ばんだ木の実を誇らしげに見せたあと
すかさず飲み込み、暖かさを増した日の光に向かって飛び立った。
明日はこの機材でフィールドのボールを追いかける...。
今日は舞台の上

と言っても、
私が舞台上で歌を歌うわけではない。
舞台上でカメラを回すのが今日の役目。
先日は客席最後列で構えたが、今日は自分自身が舞台の上に居る。
2,000人超収容の大ホール。
舞台袖とは言え明るい場所。
久々に黒のスーツを着込んだ。
サブの単体収録なので気は楽だ。
出演歌手や演奏者の方が目の前に居るので不思議な感覚。
20年以上前には、自分自身が楽器を持ってステージに立ったこともあったな...。
気がつけば、楽器の替わりにカメラやビデオを携えている自分がここに居た。