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宮本章光/宮本陽の視点「開闢」And EM Official Blog

みやもとあきらのしてん AKIRA MIYAMOTO@And EM

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「鼻デカ犬風写真」は大胆に楽しみたい

鼻デカ犬風写真は大胆な表現に使いたい

「鼻デカ犬風写真」(はなでかいぬふうしゃしん)などという呼び名は本来どこにも無いはずだが、教室で判りやすく伝えるために使っていると言葉に対する違和感がなくなってきたかもしれない。

それは、カレンダーなどでお馴染みの極端に近づいて広角で撮った写真のこと。近い部分が極端に強調されるため、形状が歪み特殊効果を生み出す。

コンデジもケイタイ・スマホもレンズの設計がどんどん広角側に進んで行くので、広角撮影がデフォルトになってしまう。
そして、それで撮影した写真がwebに溢れる。猫も杓子も「鼻デカ犬風写真」。
中途半端な鼻デカ犬風なので、見る側も撮る側も徐々に麻痺してしまう。
これってどうなん? という感じ。
なるほど世の流れということなのだろう。

こういった効果は極端な違和感があるからこそ表現として使うものだと思う。
中途半端な「鼻デカ犬風」ではなく17mm端で限界まで寄って撮ってみるカルチャーの授業より。

極浅被写界深度を楽しむ

EBCフジノンS 75mm F3.4

ある方のご厚意で手元にやって来た「Fujika GS645」。
年季の入った個体だが大きな不具合はなさそう。

写りに定評があったEBC FUJINON S 75mm f3.4というレンズが装着されている。
この部分をクローズアップ撮影。

極薄、極浅の被写界深度を生み出すマクロ撮影。
どこにフォーカスを置くかによって印象が随分と違ってくる。

この撮影は、5Dmk2とEF85mm f1.8。
よく知る方はここで疑問符...のはず。
それマクロレンズじゃないでしょ?...と。それに、ここまで寄れない。

実は、小道具を一つ追加。
小学生のときに多くの方がお世話になったあるアイテム。
雨の日のステップアップクラスは、こんなお遊びも実施している。

一昨日のクラスでは、この、僅か数ミリ程度の極浅の被写界深度を楽しんでみた。

一手間だけ追加してみる

ステップアップクラス撮影

昨日のステップアップクラスでの撮影より。

ステップアップクラスでは、一工夫、一手間だけを追加して「より魅力的な写真」を撮る体験をしていただいている。
今回もポイントとなる「光の質」を意識してみた。

基礎クラスの授業では悪者扱いされている?内蔵ストロボでも、ここまでの写真がアウトプットできる。
手のひらサイズほどの晒一枚で、ストロボ部分を覆う。
被写体奥の上面にはレフ板一枚。
最後に、マニュアルホワイトバランスでその場の色に合わせる。

bodyは、既に引退の老体 EOS 40D。
lensは、50mm f1.4 をf2.2に絞った。

そして驚きの内蔵ストロボ発光で...。この一枚。

もちろん、高価な照明機器を厳密に設置したものと同じになる、とは言えないが、光をやわらかく回してやることでこのイメージが実現する。

Hさん(パンのご提供有り難うございます)オススメの”アーモンドのパリパリ感”は伝わるのではないだろうか?


高価な機材をまず揃えてカタチから入るのがだダメだとは言わないが、光の性質を知らずして「機器・機材コレクター」で終わる人は、前の記事にも書いた「使いこなし」とは無縁の世界で迷走することになる。

昨日も「撮影が楽しい!」「撮りたくて撮りたくて!」との皆さんの言葉をいただいてクラスを終えた。

「寄って撮る」本当の意味

寄って撮る本当の意味を知っていますか?

「寄って撮りなさい...」
多くの方がそのように教わっていないだろうか?
人によっては、大きな間違いを生じることがある。

私は、同じ内容を伝え指導する場合には「寄って撮る」とは言わず、「四隅を見渡してから撮る」という言葉を使うようにしている。

本来、寄って撮るという言葉の中には「メインとなる被写体以外のものを極力減らす」という意味合いがある。
画面の大半の部分に余計なものが写り込んで、主たる被写体が真ん中にぽつんと小さく写ることを戒めたものであった。

先般、このブログの、「鼻デカ」料理は美味しそう?[ Link ]という記事で、その内容について触れている。

ある程度上達してくると、教科書通りのことをやっていては進歩がない。
ピアノのレッスンで、リズムが正確に取れない初期の頃には、メトロノームを作動させてその動きと音に正確に合わせるよう指導される。
しかし、である。
次のステップに進むと、音楽表現としてはリズムの「ゆれ」や「ため」など、見かけ上ではリズムを規則正しく機械的に刻むこととは正反対の表現が求められる。
ステップアップして表現の世界に入ると、教科書通りやっていたのでは決して教科書を超えることはできないのである。

同じように、基本は寄って撮る!...と、いつまでも唱えているだけでは決して進歩しない。
むしろ、寄って撮るためには広角側を使うことになり、結果として広角域のレンズ特性である強調感(鼻デカ犬風)ばかりが「ハナに付く」!ことになる。

ズームレンズの焦点域、それぞれにどんな特性があるのか?
それを知った上で表現の世界に入る必要がある。
にもかかわらず、万年「基本は寄る...」ばかりで撮影している人が多いのではないか。
更には、先の記事にも書いたが、TVの画面に映し出される映像は「鼻デカ風」ばかりで、ますます嫌気がさす。
モノの形状をキッチリ映すという意識が欠けているように思えてならない。

「寄って撮る」本当の意味は、主題と背景のバランス、それぞれの役割をキッチリと認識すること!であって、最も簡単にその効果を実現するために「寄って撮る」という言葉で表現され指導されていたはずである。
教室や個人レッスンの生徒さんも、この話しをするたびに「目からウロコ」と、口をそろえる。

「鼻デカ風」の絵はアートとしては良いのだろうが、TV画面の中ではもう満腹だ。
「寄って撮らない!」ことで、このシクラメンの存在が際立つし、背景とのカラーバランスも謳うことができる。
少なくとも私の教室にいらっしゃる方には、モノの形状についての意識を持っていただくようにしている。
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