写真を使い捨てにした10年からの回帰

光と影があるから印象的な結果が得られる。
だが、
明暗差が大きすぎる場合には、飛び・ツブれる、といったように、データ両端の記録ができないケースが出てくる。
少しでも広い範囲を収めるために、スマホのHDRモード(多重露光と合成)のような仕組みを利用し、狭い範囲に大きな明暗差を同居させる。
そして、ガンマやニースロープの調整による、肉眼で見た「記憶階調・希望階調(造語)」に近づけるべく望ましいと思われる明暗差の分布を創り出す。
来たる新たな年には、自分にしか作り出せない、とっておきの一枚を大切にする潮流が復活してほしいと願う。
明暗差を最大限に

明暗差を最大限に広げることで、迫ってくる力や押し出し感を高めることができる。
シャドウを持ち上げることばかりを意識してしまうと「黒浮き」に悩まされる。
ハイライトをどこに持ってくるか、といった部分にも注意を払うことで完成度がグッと高まる。
結局のところ、照明の作り込みやレフで調整をしているのと同じように、自然の中にある被写体にも明暗差のコントロールを施すところに、作品づくりの面白さと楽しさが隠されている。
階調破壊系フィルターで横道に逸れてしまった「失われた10年」。
長い休符は2018年の区切りとともに終わりを迎え、白い五線譜には新たな音符が刻まれることだろう。
AIと趣味の近未来

階調に目覚めた人が次にハマる泥沼。
ハイライト部とシャドウ部とでは色温度が異なるために、暗部が青白く寒い印象となってしまうこと。
一枚の中に大きな明暗差を閉じ込めた、せっかくの力作なのに「色」の部分に納得が行かない...。
肉眼で見た印象に近づける処理、そのプロセス自体に楽しみが存在しているが、最新モデルのスマホカメラなら「何も考えずにシャッタータップ」だけで、これらすべてを最も望ましい結果となるよう処理した上で記録してしまう。
AIの発達は、不自由を楽しむところに新たな趣味を生み出す可能性を秘めているかもしれない。
面白い時代がやってきそうな予感...。
TOKYO CRUISE SHIP「龍馬」を眺める。
黒が浮いてしまうのは避けたい

12日間の空白となったので、生きてるかい?メールをいただいた方には失礼いたしました。
おかげさまでスケジュール通りの年の瀬を過ごしています。ご連絡ありがとうございました。
このところの投稿は、HDR系の画像処理の面白さ・楽しさ...といった部分を書いていたのだが、シャドウ部分から中間に至るまでの部分(ヒストグラムの中央から左半分)を、スライダーなどで一気に持ち上げてしまうと「黒が浮いてしまう」現象に遭遇する。
階調を部分的に触ることによって、自然界の風景であるにも関わらず、まるでスタジオ照明を作り込んだかのような明暗差を作り出すことができる。
これこそが「肉眼で見た」感覚に近づける面白さなのだが、黒浮きには十分に注意し、一番下(ヒストグラムの一番左端)が、その風景のどこにあるかを忘れないようにしたい。
年内の出張案件を終了。
牛ヶ淵をながめてみる。冷たい雨。
HDRモードOnで記録した画像を弄り倒すと、階調データ(ビット)深度が少ないゾーンにはバンディングが派手に出てしまうが、これらを自動でやってしまうAIの進化は凄いと言わざるを得ない。