階調を意のままに仕上げる爽快感を:2

先の記事「階調を意のままに仕上げる爽快感を」[ Link ]でも書いたが、潰れて見えないであろう部分に近いシャドウ部と、飛んで白抜けしているであろう部分に近いハイライト部を、一枚の絵の中に共存させることで、肉眼で見たイメージに近い階調を作り上げる。
こうした処理を自分の手で行うところに楽しみがある。
尤も、本当に飛んでしまった部分はデータが存在していないので復活はできないし、潰れてしまった部分も階調を復活させるために必要十分なデータが残っていなければ、階調を調整することは難しい。
これらを勘案し、撮影時にはハイライトを飛ばさぬよう意識しながら、同時にシャドウ部分が後から復活できるレベルかどうかにも目配せをする。
このように、後工程と撮影時の意識との両方をセットで考えながら一枚の結果を作り上げる。
当然、元々のダイナミックレンジ以上に拡大することはできないし、派手にバンディングやノイズが浮き出すなどの副作用が表出するケースが多い。
この例でも、仮に業務使用ならば絶対にNGレベルの劣化となっているのだが、肉眼で見たイメージに近い「空の部分が飛ばず、手前の建物の手前側も黒ツブレしない。」状態を、自分の手で再現できるから達成感と爽快感を手に入れることができる。
今、スマホカメラの絵作りがHDR志向へとターンし始めたので、今後、こうした階調に対する関心が高まるであろうことが予想される。
少し前、それは僅か一、二年前ながら「そんな面倒なことなんてやってられねぇ。撮ってフィルター秒速SNS...。」だった。
だが、階調破壊系フィルターが過去になった今、感度の高い人たちは、階調を語る美学を既に意識しはじめている。
2018/11/30(Fri) 11:25:52 | Img Processing