
「画像処理とはチープなエフェクトを適用することではない」
と、先般の記事を書いたが、そう誤解している人たちが増えるばかり。
彼らはそれがスタンダードなのだから、そうではないことを伝える人が居なくてはならない。
画像処理の目的は、カメラの設定や操作だけでは絶対に追い込めない階調の表現を煮詰めることにある。
カメラの設定を変更する、操作する、といった要素は、概ね露出(シャッター速度、絞り、ISO感度)に関することと、画角を考慮したレンズ焦点距離の選択、そして見栄えを左右する重要な光線の具合、最後に構図、でほぼ決まる。
しかし、こうした部分をどのように操作しても、照明を完備したスタジオ以外では階調を自由に操ることは難しい。
「暗めのイメージ」が欲しい、といった例を考えるならば、露出をマイナスにする操作を行うものの、それだけでは「単なる露出不足」で「暗いだけの写真」になってしまう。
明暗差、階調をコントロールすることで、暗めの印象を維持しながらもハイライトにメリハリをつけシャドウを潰さない、といった表現が可能になってくる。
この振り袖のイメージでも、室内の明かりを落とした周囲が暗い印象を維持しながら、金糸の輝きやハイライトの落ち着きを見せることが可能になっている。
(少し極端に処理しているので若干の違和感が残るが)
画像処理を行う前の撮影時点での写真は、もっと暗く明暗差も強く、高級感を感じることは困難な状態だが、処理後はゼロが二桁違った価格差を感じさせるものに生まれ変わる。(これは実際に高価なもの)
写真の画像処理とは、こうした目的のために行うものであり、プリセットで用意されているチープなエフェクトを当てがうことを画像処理と呼ぶのではない。
カメラと言えばスマホに標準で備わっている、ものしか知らない人たち。
画像処理と言えば、エフェクトで極端に階調を破壊しカラーバランスをメチャクチャにしてそれがカッコいいと思っている人...。
平成の主役たる彼ら、彼女たちの「階調」に対する感性を台無しにしないために、間違った画像処理の認識はあらためるべきではないだろうか。
そして、階調表現のポテンシャルを知る世代の人たちは、それを後世に伝えなければならない。
知らない世代は、教えてもらわなければいつまでも知らないのだから。
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