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宮本章光/宮本陽の視点「開闢」And EM Official Blog

みやもとあきらのしてん AKIRA MIYAMOTO@And EM

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1/8000秒の存在理由

超高速シャッターは何のためにある?

一眼レフの最高シャッター速度は、1/8000という超高速の性能を有するものがある。
「いったい何のために使うの??」という話になることもしばしば。

自動車の馬力やトルクと一緒で、余裕があることでより正確性を期するのだ...という意見もあるようだが、実際のところどうなのか?

このような考え方もあるように思う。
絞りを開けて「極薄の被写界深度」を活かした屋外での撮影をするには、超高速シャッター速度でなければ露出オーバーになるから必要なもの。
ということである。

この一枚。85mm f1.8 レンズを開放(=f1.8)で使っている。
ISO感度は100。露出補正はプラス1段。シャッター速度が1/640。
日陰なのでこの程度のシャッター速度で収まっているが、これが日の当たる場所(いわゆる代表的なEV値:16程度)だったとしたら...?

ISOが100とすれば、EV16:1/60なので
f11で1/125
f8.0で1/250
f5.6で1/500
f4.0で1/1000
f2.8で1/2000
f2.0で1/4000
f1.4で1/8000  になる(なってしまう)。

デジ一眼では、デフォルトISO感度が200のものもあるため、そうなると上記値よりも更に2倍になる。1/16000(いちまん ろくせん 分の一秒!)なんて、コストがかかって普及機には搭載できないだろう。実際1/4000までしか搭載されていないモデルが多い。
しかも露出補正を掛けて撮影するとなると推して知るべし。

1/8000秒というシャッター速度は、格好やスペックを語るためだけに存在しているのではない。
(メーカーのマーケティング部門ではそんな一面も論議されるとは思うが...)
実際、この撮影時には、ISO200 デフォルト、f1.4レンズを使用した撮影をしようとされた方は、露出オーバーで撮影できなかった。

被写界深度を活かし、その極薄の世界を語るには、絞りだけではなくシャッター速度の能力も必要とされる場合がある。
超高速シャッタースピードは、極限の速さを切り取るためだけに存在しているのではない。

「目からウロコ」はここにもある。

デジタル時代の絵作り

暗い画像は彩度が高く見える

デジタルカメラ・一眼レフの急激な普及に合わせ、画像処理の需要も急上昇している。

目の錯覚というか、人間はこのような画像はこのように見える...という一つの傾向がある。
その中の代表的な事項。

明るい画像は彩度(ブライトネス)が低い:色が薄い
暗い画像は彩度が高い:色が濃い

というように感じることが多い。
かつてのポジ(リバーサル)フィルムでの撮影時には、アンダー目に撮影し濃厚な色彩感を強調する方法があった。
これは、実際にアンダーで撮ったフィルムば彩度が高くなる特性を利用しており、反対に極端にオーバーで飛ばすとフィルムのベースが透けて透明になったことを考えてみてもよくわかる。
(オーバー部分は、フィルムに何も残らず向こう側が透けて見える状態であった。これは何も残らない=写っていない、のでよくないとされ、結果としてアンダー目で撮ることが多かった。)

デジタルになってもその傾向は同じで、明るい画像は色が薄く見える。
モニター画面はRGBの3原色で表現されているわけで、各チャネルが256階調目のデータになると(R=255、G=255、B=255)「白」を表現していることを考えると理解しやすい。

なので、明るい画像は彩度が低く・色が薄く見える。
ここを画像処理により彩度を高めることで、全体の明るさを増しながら彩度の高いイメージに加工することが今の流行なのではないかと思う。
結果として、webでは見栄えのする写真になる。

だが、いわゆる「後から画像処理で造られた感」が強く、フィルムライクなイメージとは異なる印象だ。

たまには、撮影時に彩度を上げた設定に変更し、且つアンダー目に撮影して、ポジの印象に近い絵の雰囲気を思い返すことも必要かもしれない。
「モニターの中で後から作り込まれる彩度と明るさ」の関係に麻痺しかかっている感覚をリセットする良い機会になるのではないか。

5D mark2 17-40mm f4L ISO 100 f4.0 1/1250 -0.3EV AWB PictureStyle 風景

まず解像度ありき

画像データは必要とされる解像度を満たすことが大前提

解像度についての難しい話は書かない(書けない)が...。

印刷会社に画像データを入稿しようとする場合、そのアウトプットに対して「解像度」が満たされているかどうか?は最低限の条件である。
多くの場合、必要寸法で作成され、解像度が350dpi(以上)であることが常識だと思う。
それは、多くのオフセット印刷の線数が175線であるために、その2倍の解像度をもったデータで入稿することでクオリティを確保するためだ。
更には、「高線数印刷」という、より解像度の高い印刷技術も浸透している。
印刷会社の営業は、クライアントから入稿されるデータの解像度が低ければ再入稿のために再び満足なデータを取りに走らされる!

しかしながら...。
いまだに、この解像度の意識がない業界もあるようだ。
なぜ、デジタルカメラの画素数が増え続けているのか?その理由を考えてみても答えは明白なのに。
そして、その恩恵でwebに拡がる写真画像は精細感の高い写真ばかり(例外はある)になった。

アウトプットされる解像度よりも大きい(より細かい)解像度で撮影された画像であるからこそ、最終出力に「解像感」を感じる結果を導きだすことが可能になる。

論より証拠。
webで公開されている溢れる写真の数々。
最近は、コンデジや携帯カメラでさえ、極めて画素数の多いモデルばかりである。
そうしたデバイスで撮影された画像から生成されている画像を見ている訳だから、ウェブブラウザで見ているのにも関わらず非常に精細感がある。

PCモニターで見ているのに何故そんなに細かい画像になるのか不思議だ...。
とメールをいただくケースもある。
モニター解像度は72dpiにも関わらず...。ということだろう。
デジカメの画素数が、まだ35万画素とか85万画素...程度であった時代のwebには、ギザギザの写真が溢れ返っていた。

答えは一つ。撮影時の解像度が高いから。である。
(もちろん、撮影時にブレない配慮・操作は不可欠である。)
もう一つ追加するなら。
リサイズする時点でのソフトウエア処理で「適切な作業」が行われていることである。


いまだに解像度の意識がない業界では...、
このケースに置き換えてみると、72dpiで見る世界なのだから撮影も72dpiで撮るのが最も良い結果になる...と論じられている。
より高い解像度で撮ったものを「適切な処理によって」72dpiに落とし込んだもののほうが「解像感」は高くなるという常識。これが全く理解されていない。

この「適切な処理によって」という部分でも、大きく間違った処理をしているから、結果が変わってきていることにも気が付いていないよう...。

写真の世界でも、デザインの世界でも、そして印刷の世界でも「まず解像度ありき」。
これは常識だ。
もちろん、コンテンツの質や完成度、クリエイターの感性の部分はそれ以上に重要なファクターではあるが。

道具に向き合う心構え

MDR-CD900ST

多くの方が勘違いする事項。
それは道具に対する心構え。

仕事で使う場合には「荒っぽく・ぶつけたり放り投げたり」しているように思われている。
だが、それは大きな間違いだ。

よくメーカーがPRの一つとして、堅牢性や耐久性を大々的に謳うので、業務使用の場合には誰しも荒っぽい使い方をしていると勘違いされる。
これはむしろ反対で、仕事で使う道具だからこそ丁寧に扱うのは基本中の基本である。
荒っぽい扱いをしてトラブルが起きると仕事を遂行できない。

出来れば雨の中では使いたくないし、潮風を受けるところも避けたい。
なのに、無理にそのような環境で使ってトラブルを誘発させるような人たちも存在しているようだ。そして、メーカー批判や機器批判をする。
あるいは、トラブルにならなくても、そんな過酷な条件でプロは仕事してんだよ!とアピールしたい一握りの人たち...。

幼少期に初めて買ってもらった「ゴム長靴」が嬉しくて、わざわざ選んで水溜りばかりを歩いた経験は誰しもあると思うが、「無理に」道具を傷めることは愚かである。

その環境でなければ仕事が遂行できないのか?
その環境を避けることで違う提案やアウトプットができないのか?
こうした思考をアタマの中で一瞬でも考えることさえせず、これしか方法がない...的な行動に終始し、これだけキズだらけなんだぞ!と武勇伝にしてしまう一部のプロが存在するから勘違いが蔓延する。またそれがカッコいいと思っているから驚く。
キズが増えるのは事実だが、それは使用時間・回数が極端に多いために必然的に増える訳で、荒い扱いで増えたものではない。


昨年は、多くの生徒さんの機材購入のご相談に回答させていただいた。
それと同時に、機器に不要なストレスがかからない置き方などにも言及している。

一人でも多くの方が、道具を大切にする気持ちを忘れないでいただきたいと思う。
プロは決して荒っぽい使い方をしない。仕方なくそうなってしまう環境もあるのは事実だが。

(こう書くと、今度は防湿庫から出せないとか、埃がつくから使わないとかの意見が出てくる...直前の記事に書いた「On,Off」の両極端思考だ...。これは違う。)

Lumix FX100 f5.6 1/8 ISO200 MWB 卓上蛍光灯1灯 型番部分にスポットレフ
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