シャッターレリーズの前に考える

カルチャーのクラスより一枚。
グループレッスン等でサンプルを撮影する時点でよく指摘を受ける言葉。
「勝手に色々と変えたら判らんようになる!」と。
これは、私がファインダーを覗きながらカメラの設定を事細かに変更しているアクションに対し生徒さんからかけられる言葉なのだが、何をどのように変更したのかが判るようにして欲しいということ。
具体的にこの一枚の撮影に際し考え設定した事項。
a) 135mm/f2レンズを使用。モノの形状を正確に出すには望遠系を選択。
b) 絞りはf4。被写界深度はこれでも浅すぎるのだが、後述のシャッター速度との関係。
c) シャッター速度は1/60を選択。手持ちなのでこれでも限界超えている。
d) ISO感度は2000を選択。これ以上はノイズ面で苦しい。
a)については、85mmや100mmでも良かったしあるいはズームでも良かった。だがこの日この場所に用意されていた85mmではここまで寄れない。
b)からd)については、それぞれの数値を見ながら相互に変更を行っている。
絞りはもっと絞って被写界深度を深くしたい。だがそのためにはシャッター速度が極端に遅くなるためブレが顕著になる。三脚があれば解決するのだが授業内のサンプル撮影なので手持ちでサッとその場で見ることができる絵を撮る必要がある。
なので、1/60でも細かいことを言えばブレは起きているが見える範囲で目立たないレベルは1/60が限界だろう、と判断する。
シャッター速度を稼ぐためにはISO感度を上げる方法もあるので、ISO4000にすればシャッターは1/125が切れるだろう。だがノイズが厳しいだろう。
と考え2000で留めている。
露出値も、アンダー気味でも問題がないシチュエーションなので、カメラの内蔵露出計が示す値よりは随分とマイナスである。背景がブラックなので余計に内蔵露出計の数値よりはマイナスで良い。
こうしたことを考えながら3つのパラメータをセットする。
1.絞り、2.シャッター速度、3.ISO感度。
もちろん光線の具合や構図なども考えるが、メカニカルな部分の数値は上記の3つでこと足りる。
もっと明るい環境にすればいいじゃないか、だとか三脚使えば良いし。といった指摘もあるだろう。
だが大切なのは、その環境そのタイミングで、「どうすれば最良、且つもっとも低いリスク」の結果を得られるか。
を考えることなのではないだろうか。
「何も考えずに結果を出したい」という声がある。スマホカメラは確かにこの方向を極めている。
なので、私自身もあまり考えずに撮りたい場合はiPhoneオンリーでやっている。
だが、こうしたプロセスを考え、操作することで自分の意図を反映した結果を導くことが撮影の楽しさではないだろうか。
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2014/03/16(Sun) 15:41:53 | others