店じまいを決断された人

「旬(しゅん)」という言葉があります。
どことなく瑞々しさや活力に溢れる感覚が伝わります。
他方、
旬を終える、という使い方をされる場合もあります。
厳しい冬その辛い時期に、目一杯の明るく暖かい力を披露してくれました。
暖かい春を迎え、その労を労う(ねぎらう)感謝のことばを手向けます。
数日前、同業のある方から電話がありました。
年齢は、ほぼひと回り(わたしより11歳年上)違いの、ヘルプで何度か現場をご一緒したり、業務案件をご紹介いただいたり。そんな方。
「もう店じまいしようと思う」との声に、まだまだ活力は残っているものの、ある程度の疲れや鈍った響きを感じました。
過去、この方との電話の会話はいつも一時間超えコース。
非常に頭のキレる(頭脳明晰の意味)人で、一つの対象(項目)について、とんでもなく多くの「並列同時思考」をなさる方でした。
例えば、ある一つの業務機VideoCamera(Camcorder)について語るに際し、
「このモデルは4:2:0記録やけどズーム倍率が高いし、それに重量がマイナーチェンジ前より僅かながら軽くなって...。」といった具合で、一つの対象について、さまざまな視点から考察をなさる。
そして、その考察を会話の中に挟み込んでくるので、話題のフォーカスがどんどん飛び散ってゆきます。
え?、データのハンドリング容量のことを話してましたよね?
で、SDXCカードは256は要る?でも、事故があればすべて道連れで失いますから、128で分割できるなら保険になるでしょ。けれど、○○さんの主業務では、途中でメディア交換できる尺じゃなかったですよね。
あ、2枚をリレー記録の設定にしたら? それ、つなぎ目はどうなるかな?
といった具合で、とめどなく会話が続いたものです。
35年間、お一人でいまのお仕事をされてきたとのことでした。
残念ながら現在では、わたしがお請けできる業務接点はなくなっているので。と会話を終えました。
過去、言葉の端々(はしばし)にビシビシ感じる「あれも話したい・これも話したい」並列思考のそれぞれのレイヤーが手にとるように伝わってきた感覚が消えかかっていること。あるいは、もう「そこまで語る必要もない」とでも言うような感覚に、確かに年齢的な限界かもしれない、と、痛いほど伝わってきたのでした。
旬を終える。
けれど、新たなタイムラインに移行し「何度でも旬は作り出せる」ことを感じます。
それは、この地ではなくとも。
この地この世は、「体と心」をお借りして、その極めて狭く苦しい制限下で学ぶ、永遠に続く脚本の中の「わずか一コマ」でした。
いずれ、自分にも借り物の「衣」をお返しする時がやってきます。
しかし、新たな学びのための地と、未来永劫、決してとどまることのない永遠の成長にフォーカスすればこそ、いまを目一杯生きようと思うのです。
なんてことはない、そんな至ってシンプルな思考と行動があるのみだと理解が追いつきます。
2024/04/18(Thu) 11:00:57 | New Age