2014年に期待したい

2014年、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年賀状発送によるご挨拶はもう十年ほど前からご遠慮させていただいております。
早々より賀状のご挨拶をいただきました皆様には不義理を重ねておりますが、この場を持ちましてご挨拶とさせていただきたく、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
さて、2014年オフィシャルブログのトップ記事は、色盛りコテコテの風景で。
(今回は長文です。)
iPhone5sカメラ撮影、PhotoshopCCにより20プロセス程度の加工を経ている。
以前から私は、画像処理は撮影とセットで考える時代だ、と考えており、後処理が悪だとは言わないが素材をダメにする方向への加工は疑問だと書いてきた。
2014年は、もうそんなチープな加工が楽しいよね、いいね!という時期ではなくなってくるように思う。
もちろんそれらが無くなるという意味ではなく、もっと先を見越した技術、それは見栄えのしない画像やデータ欠損がある画像を自動処理で加工し、本当の意味での望ましい後処理が人手によらずとも実現できる、といった時代がもう始まっている。
撮影時点でも、最も望ましいと考えられる構図に自動的にトリミングし保存する機能などは既に実現し装備されている。但しそれが本当に撮影者の期待するものであるかどうかは別問題だが。
こうした時代には、撮影者として何をどのように盛り込むのか?という、「らしさ」の部分が大切になってくる。
人手により処理しなくてはならなかった専門技術が、サーバー上の自動処理にとって替わられ、その技術革新にどれだけ加速がつこうとも、根幹にある「自分はどう表現したいのか?」「どのように伝えたいのか?」という部分は、表現者本人だけにしか判らない。
今日のこのカット1枚も、単にブライトネスを上げる、だとか、コントラストを触るだけのエフェクトでは実現できないところがある。
具体的には...、
ソフトフィルターを部分的に使う。あるいは、特定部分だけの階調を変えたり、ノイズ低減を一部分だけに適用する、等々...、「どのように見せたいか?」は、私のイメージの中だけにしか存在していない。
結局、私の期待するイメージを脳内から感じ取りそれを加工処理に落とし込む技術革新が進むまでは手作業に寄らざるを得ない。
こうした観点からみると、「らしさ」の源流にある「表現者の意図」がこれからは更に重要になるように思われる。
さまざまな要素を勘案した膨大なアーカイブや種々の傾向から、最適とされる自動処理が行われる動きは更に増えて行くこととと思われるが、「表現者たる自身がやりたい方法と方向」を明確にすることは決して無駄にはならないはずだ。
そのためには、より自由なフォーマットがあるのも良いと思う。
TVは16:9の横画面だから、映像(動画)は常に横長でなくてはならない...ことはないだろうし、既にwebでスマホ撮影による縦長の動画を見つけることは難しくない。
同様の考え方をするなら、スクエアフォーマットが好きならスクエアで撮れば良いし個人の自由だ。
また、明と暗しかないような階調を破壊したエフェクトが自分の表現に合っているならそれは大いに結構だろう。
が、しかし、それは本当に表現者が望む手段や仕様であるかどうか?を確認した上で採用すべきことなのではないだろうか。
和食の店に行けばいつも湯豆腐。中華の店に行けばいつもチャーハン...。
では、あまりにもレパートリーが少なすぎる。
和食にも中華にももっともっと数多くの料理があり、それらを知った上で今日は湯豆腐だ、チャーハンだ、とオーダーできるなら良いのだが、和食では湯豆腐しか食べたことがなく、中華もチャーハンしか知らない。そんな人が多い、といった例えになるように感じる。
スマホで撮った写真は無条件にスクエア。加えてデータを破壊したド派手エフェクトかセンスを感じないフレーム適用。
で、その撮影者にはこれしかない。他は無い。
横長で撮ったほうが状況説明には最適なのに、縦長でしか撮ったことがない。果ては動画までもスクエアで撮る。
で、その表現者にはこれしかない。他は存在しない。
何より、鑑賞者・視聴者側に対し「その一品で勝負」する理由が伝わってこないのが問題。
上述のような革新的な技術革新がどんどん進んでいるにも関わらず、表現者側が非常に狭い画一的な枠組みの中だけでしか表現をしなくなり、その結果、感性がどんどん麻痺し、表現手段も朽ち果ててしまう。
私たちが長い歴史の中で培ってきた、写真や映像の中にある芸術性という奥深い味を、自ら味覚を閉ざして感じ取れなくしてしまうのは避けなくてはならない。
少し大袈裟ではあるが、文化遺産、世界遺産を自らの手で破壊するのと同じレベルの行為ではないかと私は考える。
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2014/01/04(Sat) 17:02:32 | Information