オーケストラ演奏会録音・ハイレゾレコーディング技術背景
ハイレゾ録音技術背景
ハイレゾ録音技術背景
ハイレゾを謳う業者が増加しています。当方では2006年よりハイレゾ対応レコーディングの実績を積んできました。
つい昨日までmp3の圧縮音源で満足していた人も、途端に今日からハイレゾ信者に...。
そしてそれをキャッチにしてしまう業者...。
大切なことは、響きを望ましい形・姿で捉える技術基盤とそれをモニターできる耳だと思うのです。
ハイレゾ録音では可聴帯域を遥かに超える広い音域が記録可能です。しかし実際には聴こえない部分が記録されるため本当に記録されているかどうか?については判らない。というのが実際のところ。ここが賛否両論、オカルトチックだと批判する人も出てくる所以でしょうか。
人間は「そこに何かがあることを感じる」ことはできると言われています。そのため可聴帯域を超える部分ばかりがクローズアップされるハイレゾ音源ですが、現実には以下の二つの要因による差異が体感できるように思われます。
1.ハイサンプリング化による、量子化ノイズ(A/D、D/A変換時の変異)の低減
2.高ビットレート高解像度による、ダイナミックレンジの豊富な階調(以下解説)
一期一会の演奏会録音、コンサートレコーディングにおいては、より広帯域・高解像度で残しておくことは無駄ではないと考えます。
ハイレゾ録音では、このような可聴帯域を超える部分ばかりがクローズアップされ語られますが、実体験として明確に感じられるメリットは「ハイレゾ音源の高い解像度」のほうにあります。
上記薄いブルーのブロックをご覧いただくと、階段状の上下の細かさが異なることがお分かりいただけるものと思います。
ハイレゾ録音では音の強弱をデジタル化する細かさがより細かいため、更に自然な雰囲気が記録できる、という点で優れています。
単にサンプリングレートを上げただけの(まるで一昔前のデジカメの画素数競争と同じく)スペック競争ではなく、解像度について明確なハンドリングができることが「クラシック演奏会、オーケストラコンサートをハイレゾ録音する」エンジニアの必須条件だと考えています。
こうした観点から、現時点では「192kHz/24bit」記録が、ホールでの機動性を確保したPCベースでのハンドリングに最適と思われます。
コンサートハイレゾ録音のリスニング用ハンドリングスキル
こうして記録された音源のリスニングについてはそろそろ環境が整い始めています。PCオーディオや専用ネットワークオーディオ機器を揃えるのも一つの方法です。
しかし、従来からのCDベースの解像度にダウンコンバート、リサンプリングしてもハイレゾ録音された音源は、その優位性を感じることが可能です。
こうした処理の優劣によって音はいとも簡単に変化してしまいます。例えばこのイメージのような項目。しっかりと調整したいものです。
例えば...、
【ビット深度】録音時の解像度を上回ることは無い。調整・処理時点での劣化を防ぐ目的にも活用。
【ディザ】クオンタイズノイズをマスクする目的で適用されるディザにより結果に影響。
【ノイズシェーピング】は、ノイズ除去の特性をコントロール。
【カットオフスケーリング】により、周波数を任意に調整。
といった具合。
こうした各種調整は、かけ算の九九のように一つの式に一つの答え、というものが用意されていません。当然各パラメータに意味があり、それを調整することにより
結果を変えることになります。
ここで思い出していただきたいのは、デジタルカメラの写真画像が撮って出しではなく、必ずある程度の調整を加味して世に出ている事実です。
コンサートの録音も「録って出し」では機器のクセを内包しているために聴感上美しくは聴こえないことが多いもの。これらをよりコンサート本番の熱気に近づける、奏者の
表現を更に印象的に聴こえるようにする...といった部分の仕事が必要になるのです。ここをマスタリングエンジニアが担います。
(各種調整イメージ)
このようなデータハンドリングの部分よりも前の部分(=現地でのマイクロフォンのセッティングや調整など)にも非常に大きなウエイトがあります。
が、また別の機会に別のページにおいてお伝えしたく思います。
機器も完全デジタル化し、PCベースで誰でも簡単にレコーディングできるようになってきました。裾野が広がり活性化するのは多いに喜ばしいことだと思います。
以下、3項目にクラシックコンサート録音に対する考え方とハイレゾデータの技術背景・ハンドリングについて記載いたします。
■1【Sound】クラシックコンサートの録音は
■2【Value】音楽家の響きを残す収録者の役目
■3【High Resolution】ハイレゾ音源のハンドリング(当ページ)
■4【Noise】ハイレゾ音源のノイズ
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