ノイズを隠すための高コントラスト
少し古めのアーカイブから、当時のコンパクトデジカメデータを引き出して画像を触ってみる。
現在(2015年10月)と大きく差を感じるのは、シャドウ部分のノイズ処理。
今ではセンサーが飛躍的に大きくなったこともあるが、普及クラスのモデルではさほどサイズに変化はないため、暗部のノイズ消去の技術が上がったということだろう。
実際、シャドウ部分のガンマカーブを触ろうとすると盛大にノイズが浮いてくる。
なるほど、シャドウ部分は階調がほぼ見えない程度にまで潰され、それはノイズ隠しのチューニングでもあったことをうかがい知ることができる。
旧日比谷図書館(現:日比谷図書文化館)、2008年に改築前の姿を残すために撮影したもの。
当時は、ポケットにはまだコンデジの時代であった。
ノイズ過敏
ノイズが...、
ノイズが...、
と、過剰に反応する人が増えた。
もちろん、ノイズは少ないに越したことはない。
それに、業務案件であれば盛大なノイズの乗ったデータを納品するのは躊躇う。
当然、被写体が動かない条件、且つ撮影側に三脚等の安定した環境があるなら、低いISOでノイズを減らす努力は必要である。
実際には、最終用途がピクセル(dot by dot)等倍鑑賞や全紙プリントでない限りノイズは目立ちにくくなるため、高ISO感度でもさほど問題にならないレベルに収まることが多い。
そして、最も重要視されるべきは、ISOを下げノイズが減少することと引き換えに、ブレのリスクが高まることである。
ノイズアレルギーの人は、ブレ不感症を併発していることが多い。
無条件に「ノイズが増えるからISOを下げろ」といった単一思考しかできないのは、自ら撮影自由度を奪うだけだ。